INTERVIEW & NEWS

1943年、宮崎県延岡市で旭化成の工場を敵機から見付けられないようカモフラージュするために塗装する事業からスタートした花菱塗装技研工業。平成2年に新富町の企業誘致で新たに新富支店が設立されました。

今回は、代表取締役の稲田健さんに話を伺いました。

pastedGraphic.png

 

どのような仕事をしているのか

―新富支店の業務内容を教えてください。

稲田:新富支店では、ホンダロック様やアイシン九州様から受注を受け、ドアミラーや外装部品、オートバイ部品などの塗装・加工を行なっています。

 

社長の経歴

―花菱塗装技研工業に入社したのはいつですか?

稲田:平成17年、36歳の時に新富支店へ入社し、平成21年から社長として仕事をしています。

―それまでは?

稲田:延岡市役所の職員でした。3代目の父が病気になったのをきっかけに退職し、花菱塗装技研工業に入社しました。病気だった父も今ではすっかり元気になっているので、とりあえずひと安心しています。

―転職することに迷いはありましたか?

稲田:私は特に心配していませんでした。決めたからにはとにかく頑張らなきゃという気持ち。むしろ周囲の人の方が「あなた大丈夫なの?」と、かなり心配していた様子でしたね。

―先代たちの働く姿を見てきたからでしょうか?

稲田:そういうわけではありません。父は花菱塗装技研工業の従業員で、退職後は個人事業主として不動産の管理やテニス場の運営などを行なっていました。その時の影響で、私もテニスをしていて。そんな時、2代目の社長が病気をされたこともあり、父を後継者として指名したという経緯があります。

―公務員からの転職という状況や仕事の内容に戸惑いは?

稲田:特に戸惑いはなかったですし、まずはやってみるしかないですよね。入社後は、職場環境の管理について学んだので、現場のことは職人さんにお任せし、経営面で会社に貢献していくために努力しました。

―その中で苦労したことがあれば教えてください。

稲田:通勤には苦労しました。延岡市の自宅から新富町までは車で1時間半ほどかかるので、毎朝4時半に起床し5時に家を出発。6時半に出社という生活を毎日続けました。また、1日でも早く従業員に認めてもらいたいと思い、積極的に若い子たちと食事に行ったり、お酒を飲んだりして交流を深めました。

経営面では取引先の社長にアドバイスをいただき、なんとか今日まで続けることができています。

pastedGraphic_1.png

 

リーマンショックの恩恵

―さまざまな苦労があったのですね。社長になられた平成21年といえばリーマンショックの影響がおありだったのではないですか?

稲田:はい。受注量が3分の1まで減りましたが、偶然にも新たなメーカーさんから声をかけていただき、なんとか乗り切ることができました。バブルの時期を知っている従業員の落胆した表情が衝撃的で、今でも鮮明に覚えています。

しかし、リーマンショックは悪い面だけでなく、会社として良い面もありました。

―そのようなケースもあるのですね。

稲田:ロボットを導入したのですが、当時はロボットメーカーも受注のキャンセルが相次ぎ、多少安くてもなんとか買ってくれないかという状況だったんです。銀行も融資の話が白紙になっていて低金利でお金を貸したいと考えてくれました。人間塞翁が馬だと思い、走り続けたことが良かったのではないかと思います。

 

オートメーション導入

―ロボットを導入するとスタッフの負担も減りそうです。

稲田:確かに負担は減りました。ただ、職人さんの勘と経験もなくてはならないもの。私たちのロボットと一般的な製造ロボットで大きく異なるのは、温度と湿度の管理・設定です。塗料はシンナーを混ぜて使用するのですが、この分量や塗装する感覚というのはロボットで微調整できないので、職人の力が必要になるのです。

 

―ロボットがすべて自動で行なってくれるわけではないのですね。では、人材の育成が必要なのでは?

稲田:はい。ロボット操作の前に必ず自分の手で塗装する経験をしてもらいます。シンナーの量や吹き付けの距離感など、まずは自分の身体で感覚を覚えてもらいたいから。先輩がしっかりと指導するので、未経験者でも1からスキルを身につけることができます。

pastedGraphic_2.png

環境面の取り組み

―なるほど。環境面での取り組みなどあれば教えてください。

稲田:廃塗料は専門業者により適正に処理しておりますし、塗装設備に使用する水は全て循環させており、完全無排水となっています。工業内は、温度や湿度も可能な限り一定に保ち働く従業員にとって少しでも働きやすい環境も大切にしています。

―働きやすさという点で他にどのような取り組みをしていますか?

稲田:タイムカードをIC化しました。IC化することにより、リアルタイムに従業員の労働時間を知ることができ、働きすぎることがないよう事前にアナウンス。また、タイムカードの集計作業も当然減りますので、他のことに時間を使え、効率的に業務ができるようになっていると思います。

また、給料のベースアップにも力を入れていて、ここ3、4年で従業員の給料が平均約25%アップしたという実例があります。

―それは、従業員のモチベーションになりそうです。

稲田:はい。当然ではありますが、給料が増えることで生活が豊かになります。

ただ、それ以上に魅力ある会社であり続けたいですね。

 

会社の魅力とは

―花菱塗装技研工業の魅力を教えてください。

稲田:自分で考えて仕事をさせることです。人生の3分の1の時間は仕事していると考えたら、もっと楽しさを見出す機会が必要。仕事の中で楽しさを見つけることで、より人生が豊かになるのではないかと思っています。すべてを与えたらロボットと同じ。まずは人としてどう生きたいかということを自ら考えて行動できる力を身につけてもらいたいのです。

また、これは従業員に普段から言っていることですが、「自分でお金を出してでも買いたいと思う製品を作る」ということが大切だと。

品質を保つためには、自分で作った製品を自分でお金を出してでも買えるかという視点で仕上げて欲しいのです。こういった視点は女性が特に強く持っているようで、品質チェックなどは女性が多く活躍しています。