INTERVIEW & NEWS

昭和45年に地元の人が使用する農機具の修理業としてスタートした井崎製作所。

現在は、搬送コンベア(ローラーコンベア、ベルトコンベア等)のオーダー生産のかたわら、宮崎・鹿児島の消防団が使用する小型ポンプ積載車(小型消防車)の製造なども行なっています。

今回は、そんな井崎製作所の3代目社長 井崎貴盛さんに、会社の魅力や現在の取り組みなどについて伺いました。

どのような仕事をしているのか

—どのような業務を行なっているのか教えてください。

井崎:主に金属製品製造業を行なっています。鉄・ステンレス・アルミニウム・チタン・銅などの合金を使い、主に工場で使われる産業設備を、一部例外を除いて設計から製造まで一貫して行なっています。

また、10数年前から消防団の小型ポンプ積載車も製造しています。

 

—工場でも積載車を見かけましたが、それぞれ形状が違いましたね。

井崎:地域によってオーダー内容が異なるのです。まず、普通の白いトラックの状態で工場に入荷。それから架装・塗装・電装を行い、ポンプメーカーに納品します。宮崎で消防団の消防車を見かけたら井崎製作所で作った可能性が高いですね。

 

地域との関わり方

—消防団を通じて一般の方にも自社製品を見てもらう機会が増えますね。

井崎:そうですね。これまで工場内の製品がメインで、一般の方に「井崎製作所の製品」を見てもらう機会がありませんでした。特に子どもたちが喜んでくれるというのは、モチベーションに繋がりますね。

 

—子どもたちと関わる機会とは?

井崎:小学生向けの工場見学を推進しています。これまでも学校への声掛けやホームページで紹介するなどしてきましたが、子供たちに喜んでもらうネタがありませんでした。産業設備の階段やタンクなどを見せても、なんとなくすごいって感じてもらえるだけだったんです。

そこに消防車が1台あるだけで、子供たちの目の輝きは大きく変わります。こちらも嬉しくなりますよ。

 

—素敵なことですね。社内に起こった変化などあれば教えてください。

井崎:かなり変わったと思います。例えば5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が無意識に徹底されました。子どもたちが歩く工場内を安心して歩けるよう、きれいにし、作業中は怪我をさせないよう、これまで以上に徹底して安全管理を行うようになりました。

工場の雰囲気が明るくなったというのが一番の変化かな。

 

社内の変化

—子どもたちが工場内にいると明るくなりそうですね。

井崎:それもありますが、スタッフが挨拶するようになったのです。

これまでは、どちらかというと職人気質の集まりで、どこか近寄りがたい雰囲気があったことは事実です。私が井崎製作所で働くようになった10年ほど前、まだこの業界は3K(きつい・汚い・危険)と言われていたので、この環境を変えたいと常々考えていました。

工場見学では子どもたちから挨拶される機会が多くあります。その時、大人が無視するわけにはいかないでしょう?

最初はぎこちない方もいましたが、徐々に慣れていき、今では外部の方とすれ違っても当たり前のように挨拶ができるようになりました。

それだけでも社内の雰囲気は格段に良くなりましたし、スタッフの表情も明るくなり、風通しの良い環境になっていると思います。

それに、子どもたちにスタッフとして働いている親の姿を見てもらえるのも魅力です。子どもたちに親の仕事に誇りを持ってもらいたいという想いで始めた取り組みなので、これからも続けていきたいですね。

 

社長就任までのこと

—「親の仕事はカッコいい」「自分も将来なりたい」と言われるのは親としてもうれしいでしょうね。ところで、先ほど井崎社長が入社した頃の話がありましたが、それまでの経歴を教えてください。

井崎:愛知県の工作機械メーカーに勤務していました。福岡の大学で学んだ後に就職したので、新富町には高校卒業後、ほとんど帰省していませんでした。

 

—県外で修行をした経験を家業に活かしているのですね。

井崎:いいえ。当時は家業を継ぐことを考えていませんでした。ただ、祖父や父の背中を見て育ったので、モノづくりには興味がありました。しかし油にまみれた仕事よりも、コンピューターを使った開発や設計に憧れを持ったので、工作機械メーカーに就職。NC(数値制御装置のこと)旋盤などの工作機械を開発・設計していました。

 

—井崎製作所に戻ってくるきっかけがあったのでしょうか?

井崎:仕事にやりがいがあって、全体の流れも掴めるようになったのですが、30歳を機に改めて自分の人生を考えるようになったのです。「本当に自分の人生はこれで良いのかな?」って。たぶん多くの人が感じることじゃないかと思いますが、そのタイミングで父からも家業のことで相談を受けるようになっていました。

県外で結婚して子どももいましたが、家業を意識するようになり後悔しない道を選ぼうと思い、新しい業界にチャレンジしようと決心しました。

 

—井崎製作所での役割を教えてください。

井崎:これまで関わったことがない分野ですので、製造に関してはスタッフのほうがかなり優秀です。私はどちらかというと、スタッフが働きやすい環境づくりや会社の経営などに専念しています。

 

働きやすい環境づくり

—働きやすい環境づくりとは具体的にどのような取り組みでしょうか?

井崎:2、3年前からスキルマップ制度を導入しました。課長以上を除くスタッフがどれだけ仕事ができるか1〜10で上司が採点して社内に公開。もちろん点数が低ければ嫌な思いをするかもしれませんが、より具体的な評価が出ることで、もっと上を目指そうとする意欲を持った若いスタッフが増えています。

あと、かき氷の機械を置いたのは社内外からも好評です。

 

—工場でかき氷?

井崎:何か面白い取り組みをしたいと考えてやってみました。最初は製氷機を置いてスタッフが身体を冷やしたり、水筒に氷を補充したりなど、熱中症対策で使用していたのですが、その横に今年からかき氷の機械を設置しました。

工場内は風などで粉塵やホコリが舞うので、衛生面に気をつけ、自社特製のかき氷機械カバーをステンレスで開発・製造。4万円ほどの機械に対し、15万円ほどのカバーというのは笑える話ですが、来社されるお客様も喜ばれ、商談にもつながっているので大満足です。かき氷のシロップでアリが大量発生するのは玉にキズですが。

 

—シロップには注意しないといけないですね。今後は、どのような取り組みをしていきたいですか?

井崎:社内の環境整備は順調に進んでいるので、多くの人が働きたいと思える企業にしていきたいです。女性の雇用にも積極的に取り組んでいます。職人の技術も大切ですが、女性ならではの視点や気遣いも重要です。現在働いている女性スタッフの姿から、相手の想いを汲み取る力がこれからの会社に必要だと実感しています。

産休・育休制度は、これまで対象となる方がいなかったので、実績はありませんが働きやすい職場を目指して積極的に導入していきたいと考えています。

 

会社の魅力とは

—井崎製作所の魅力を教えてください。

井崎:チャレンジしやすいということです。井崎製作所では入社後に各部署を経験しながら技術を磨いていきます。ここまでは普通の企業と変わらないかもしれませんが、入社して間もないスタッフも先輩たち同様、お客様に納品する本物の製品を加工するのです。

 

—練習用の金属ではなく、いきなり本番!?

井崎:驚かれる方もいらっしゃいますが、それこそが開発から材料の仕入れ、加工、塗装、組み立てまで一貫して行う井崎製作所の強みです。失敗してもやり直しができる。一貫して製造していない企業の場合、失敗したら再度業者に発注することになり採算が取れなくなってしまいます。

このチャレンジしやすい環境ということが、井崎製作所の魅力だと思います。

 

—未経験者でも安心できる要素だと思います。

井崎:はい。まずは現場に慣れてもらうために本物に触れてもらいたいのです。社長としては、失敗しないで製品化される方が良いのかもしれませんが、成長のための失敗はチャレンジの証だと思います。

また、私との個人面談の時間も設けていて、要望や悩みなど直接聞くことができます。働く中で「こうしたら良いのではないか?」と、前向きに考えてくれたことは、可能な限りチャレンジしてもらいたいですし、そのための環境を整えるのが私の仕事だと思っています。

スタッフ1人1人が想い描くモノをカタチにできる井崎製作所として、今後も品質や技術に磨きをかけていきたいですね。