INTERVIEW & NEWS

地域課題をビジネスの力で解決する人材育成の一環として、こゆ財団が2017年4月に開校した「児湯シータートル大学」。受講生でもある伊藤酒屋の伊藤寛人さんは、地元新富町で創業明治25年の酒屋の5代目。内側から町を盛り上げる取り組みをしようとする地元人材の1人だ。

地域で立ち止まったままでは出会えない刺激が欲しかった

—家業を継がれたのはいつごろからですか?

伊藤:大学卒業後は、東京で野球用品関係のメーカーで3年間働いていました。

先代も家業を継いで欲しいとはいっていませんでしたが、勤めていたメーカーが倒産したのをきっかけに地元に戻って家業を継ごうと。

当時の店は、母と祖母の2人で切り盛りしていましたが、お酒は少しだけでジュース、お菓子、雑貨なども取り扱っており、残り半分はクリーニングの取次店。田舎の商店みたいな状況でした。

このままではダメだと思い、とにかく10年間は必死に試行錯誤。酒店として売上を上げる工夫をして、なんとか右肩上がりにもっていくことができました。

ただ、ここ5年は経営が落ち着いたということもあり、正直、自分自身で少し手を抜いていたような感覚もあります。

—現状を変えたいと思ったきっかけは?

伊藤:やはり外からの刺激ですね。
地方にいるだけで外の空気を感じないままだとマンネリ化してしまうし、自分自身でやれることをやり尽くしたという感覚もありました。

そんな時に出会ったのがこゆ財団さんです。

2017年4月に町内で開催されたこゆ財団の起業家育成塾「児湯シータートル大学」キックオフイベントに参加したのですが、面白いことをやろうとしている人たちだって率直に感じたし、地域で商売をしている人間として、外の先進事例を学べるいい機会だと感じました。実際、私は「児湯シータートル大学」に参加し、4ヶ月ほどビジネスについて学びを深めることができました。

こゆ財団さんは町内外のいろんな人とつながりをつくっていて、フードコーディネーターである小野茜さん(現 新富町地域おこし協力隊)との出会いのきっかけにもなりました。お酒のみならず、フードビジネス全体に詳しい彼女の存在も大きかったですね。それ以来、とにかくたくさんの刺激を受けよう!という一心で活動してきました。

どこの地域も同じかもしれませんが、新富町は住みやすい町である一方、新しいことへのチャレンジに消極的なところがある。地方ならではの課題だと感じていました。

でも、これからは地方に住む人間もチャレンジしていく必要があると私は考えます。
こゆ財団のみなさんには大いにやってもらいたいと思うし、協力もしたい。私も負けずにチャレンジしていくつもりです!

国の天然記念物100%の梅酒

—伊藤さんがいまチャレンジしていることについて教えてください。

伊藤:新富町には、国の天然記念物に指定されている「座論梅(ざろんばい)」という梅の木があります。

その実を使って梅酒を作りたいというプランを、「児湯シータートル大学」の最終プレゼンテーションで発表したんです。それから1年半ほど準備を進めてきて、今年(2019年)の春に完成の見込みです。

—天然記念物というと、容易に取り扱えるものではないように思いますが、いかがでしたか?

伊藤:そうですね。
こゆ財団さんにも協力していただき、町役場などにお願いに行ってなんとか実現しました。

座論梅を使って何かを作りたいというのは昔からの思いだったので、ようやく念願が叶ったという感覚です。

—初回出荷量はどのくらいの見込みですか?

伊藤:座論梅は古い梅の木で実が小ぶりなため、まとまった量は作れません。最初は720mlが100本〜200本程度かなと思います。

ちなみに新富町は航空自衛隊の町でもあり、通称「梅組」と呼ばれる第305飛行隊があります。
部隊マークの梅花は、もともとは茨城県にある偕楽園にちなんでデザインされていましたが、現在は新富町の座論梅がモデル。
その梅組に座論梅梅酒を渡したいとも考えているので、市場にはあまり出回らないかもしれませんね。

座論梅が新富町にもっと増えれば、生産量を増やすことができると思いますけど(笑)

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国の天然記念物を利用した商品で、地域をブランディングしていく伊藤さん。
新富町に新しいお土産、そして伝統がまもなく誕生する!